お知らせ

2018.10.03 / コラム

予防接種についてよくあるご質問②

①に引き続き、よくお問い合わせ頂く内容について触れたいと思います。

感染症予防のため、計画的に予防接種を受けて頂くきっかけになれば幸いです。

 

Q7.風疹ワクチンは接種したほうがよいですか?

風疹は発熱、発疹、リンパ節主張を主な症状とするウイルス性疾患です。感染力は麻疹や水痘に比べて弱いですが、乳幼児期に比べて、大人がかかると、一般的にその症状は重くなると言われています。また、妊娠20週頃までの妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると、胎盤を通して風疹ウイルスが赤ちゃんにも感染し、難聴、先天性心疾患、白内障、精神運動発達遅滞などの症状を引き起こす可能性があります(先天性風疹症候群)。流産や早産のリスクも上昇します。したがって、風疹に対する免疫がない方、特に妊娠出産年齢層の女性はワクチンを接種したほうがよいと考えます。風疹ワクチンは接種前後に一定期間の避妊が必要になるため、妊娠に備えてなるべく早く予防接種を行うことが望ましいです。避妊期間に関してはQ2をご参照ください。

 

Q8.男性でも風疹ワクチンは接種したほうがよいですか?また、接種した場合に避妊は必要ですか?

風疹はまれに脳炎や血小板減少性紫斑病など重篤な合併症を引き起こすことがあり、ご自身を守るためにもワクチンの接種が必要です。また、自然感染した男性が周囲に感染を広めることで、知らず知らずのうちに妊婦さんへうつしてしまう可能性があります。Q7でお示ししたように、妊婦さんが風疹ウイルスに感染すると赤ちゃんにも影響が出ることがあるため、男性も可能な限り早く風疹の予防接種を受けることが望まれます。男性が風疹ワクチンを接種する場合には、避妊は必要ありません。

 

Q9.麻疹風疹ワクチンの接種を受けたにも関わらず、抗体ができない人はどのくらいいますか?

麻疹ワクチン、風疹ワクチンどちらも、予防接種による抗体獲得率は95%程度とされています。つまり、約5%の方には抗体ができません。しかし、ワクチンは2回接種することで免疫効果が強くなる(ブースター効果)ため、2回接種すればほとんどの方が抗体を獲得することができます。

 

Q10.麻疹、風疹の免疫があるかどうかはどのように確認したらよいですか?

免疫があるかどうかを調べるには、血液検査で抗体価を調べる方法が一般的です。麻疹の場合はEIA法、風疹の場合はHI法で検査されることが多いです。十分な抗体価を確認できれば、再度予防接種を受ける必要はありません。予防接種を受けたことがなく、抗体価が不十分の場合は予防接種を受けることが望ましいです。ただし、ワクチンを2回接種している場合には、抗体価が不十分であっても、予防接種を何度も受ける必要はありません。Q9でお示ししたように、2回予防接種を受けていればすでに免疫を獲得できている可能性が高いため、基本的には追加の接種は必要ないと考えます。

免疫があるかご心配の方は、まずご自身の予防接種記録をご確認頂き、予防接種を受けていない場合や予防接種を受けた記録が確認できない場合には抗体価を調べる、というのが基本的な考え方です。

 

Q11.成人男性の風疹患者が目立つのはなぜですか?

従来、風疹にかかりやすい年齢は1歳~9歳頃で、幼児や小学校低学年のお子さんで流行していました。しかし、近年の風疹患者の年齢を見てみると、成人男性が多くなっており、これには風疹ワクチンの接種制度が大きく関わっています。細かい経緯は割愛させて頂きますが、男性が風疹ワクチンの定期接種の対象となった1979年4月2日以前に生まれた男性(2018年年4月1日現在、39歳以上)、定期接種となってからでも接種率が低かった年齢層(2018年4月1日現在、28歳以上39歳未満)の男性および女性には、風疹に対する免疫が不十分な方が他の世代の方に比べると多いため、風疹流行時期には注意が必要です。

 

Q12.一度風疹や麻疹にかかった場合は免疫があると考えてよいですか?

風疹や麻疹に一度かかると、通常は生涯にわたる免疫を獲得することになります(終生免疫)。ただし、すでにかかったと記憶されている方々の中には、血液検査ではなく症状からそう診断された場合も含まれており、実際にはそれが風疹や麻疹によく似た症状の他のウイルス疾患であったということもあるため、記憶だけではあいまいな部分もあります。したがって、ご自身が風疹や麻疹にかかったかどうかはっきりとわからない場合には、抗体検査を受けて頂くことをお勧めします。(血液検査で抗体価を測定して風疹・麻疹の診断を受けた場合には、基本的には再度抗体検査を受けて確認をする必要はありません。)

 

Q13.すでに免疫がある人が予防接種を受けると副作用が起こりますか?

予防接種を受けたり、過去にその病気にかかったことにより、すでに免疫を獲得している場合でも、予防接種を受けることで特別な副反応が起こることはありません。これはどのワクチンでも共通です。